人工授精とは、自然な性交で妊娠が望めない場合に、精液を人工的に女性の子宮内に直接入れる方法。これにはAIHとAIDの2種類がある。
AIHのHはハズバンドのHで、夫の精子減少や精子運動能力が低い場合や、ヒューナーテスト(性交後検査)の結果、精子と頸管粘液の相性が悪くて子宮内に上昇しない場合にとられる処置。最近では「精子洗浄濃縮法」といって、運動性のいい精子だけを分離、濃縮する方法が開発されて、かなり効果が上がっている。
AIDのDは、ドナーのDで、夫が無精子症、精子死滅症の場合に第三者から提供された凍結保存精液を利用して行う方法。
人工授精は、排卵日に合わせて、行うことが必須の条件である。場合によっては排卵誘発剤の治療と並行して行い、排卵のタイミングと合わせて実施する。精子もできるだけいい状態にするために、夫は人工授精の3~4日前から禁欲し、処置のある日の朝に採取する。
人工授精は健康保険が適用されず、自費診療となっている。
ひと口に体外受精といってもその人たちの不妊状況などに応じて、3種類の方法にとられている。ひとつは、一般に言われる普通の体外受精で、女性の卵子と新鮮な精子を体外で受精させる方法。
ふたつめは、凍結胚を用いる方法。
三つ目は「顕微授精」と呼ばれる方法。
胚移植は、卵子を女性の体から取り出し、体外で精液を加えて受精させた受精卵(胚)を子宮に戻すことである。以前は重度の卵管通過障害の不妊に限られていたこの方法も、現在は卵管が通っていても妊娠できない子宮内膜症や、夫の精子減少症、またいろいろな検査で異常が認められない、原因不明の不妊症にも適用されるようになっている。
体外受精の実施件数はこの10年近くで確実に増え、実際に生まれた赤ちゃんも4千人を超えている。技術的にもより進歩して、より自然な条件に近づけるためや、患者側の苦痛が軽減される方法も開発されている。
体外受精では、多胎妊娠となることの危険性から、一度に移植する胚(受精卵)を3個までという取り決めがある。そうなると、使われなかった胚という物が出てくる場合がある。凍結胚とは、この余剰の胚を凍結させて保存し、次回の移植に用いようとすること。この方法だと排卵誘発をする回数が減るので、女性の体の負担が軽くなるのである。
胚はデリケートな細胞である。したがって、凍結の際に傷つかないとも限らない。また、目に見えない形でなんらかの障害を受ける可能性もある。実際に凍結胚を用いた場合の妊娠率は、新鮮胚を用いた場合より低くなっているという報告もある。
顕微授精とは、卵子に直接精子を注入して受精させる方法で、精子の受精能力が低い男性の不妊治療として注目されている。
顕微授精には、卵子の周りの透明体に小孔をつくって、精子が卵子の中に入りやすくしてあげる「透明体開孔法(A)」と、精子を卵子の透明体の内側に注入してあげる「囲卵腔内精子注入法(B)」、精子を卵子の中に直接注入して無理にでも受精させてしまう「卵細胞質内精子注入法(C)」がある。
顕微授精は実施数が年々増えている。しかし、顕微授精によって生まれた子供には、染色体異常が多いという報告もあり、今後の発育や生殖能力を含めての成長過程を見守る必要があると言える。
体外受精では1個の卵子では成功の確率が低いので、十分に成熟した卵子を多数採取することが重要である。そこで排卵誘発剤を連日皮下注射し、多数の卵胞を発育させる。
排卵誘発剤を使用すると、5~10個ほどの卵胞が発育する。十分な発育を確認した後、採卵する。採卵は超音波で卵胞を確認しながら、それぞれの卵胞に細い針を刺して卵胞液ごと卵子を吸引する。採卵後の卵子は試験管内で数時間培養される。
精子と培養液を混合して遠心分離器にかけ、活きのいい精子だけをより分ける(精子液)。精子液の精子濃度が1mlあたり1万個~5万個になるように調整して試験管の卵子に加える。
受精卵の確認ができたら、女性の子宮腔内に専用のチューブを使って胚移植をする。移植後は、2~3時間安静にした後、帰宅。
女性は排卵翌日からプロゲステロンのホルモン注射を毎日実行する。妊娠が確認された後、さらに胎児心拍数が確認されるまで、注意深くフォローする。
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