卵巣の中に水がたまって大きく晴れた状態を言うが、卵巣は腫瘍のできやすい臓器で、いろいろなものが発生する。その腫瘍を大きく分けると、のう胞性のものと充実性腫瘍の2種類に分けることができる。その中でも卵巣のう腫といわれるのう胞性の腫瘍はたまっている内容物により3種類に分けられる。どれもほとんどが良性だが、まれに悪性に変化することもある。
卵巣のう腫になると、ちょうど風船に水が入ったように卵巣が大きく晴れる。しかし、卵巣は一部でも正常機能があればほとんど変わりなく機能するので、はじめは自覚症状がなくてなかなか気づかない、というやっかいな病気である。
腫瘍がこぶし大くらいになると、下腹部痛や腰痛が起こることがある。さらに、腹腔内でのう腫が自然に破れる場合もあるので、症状がないからと言って放置してはいけない。
卵巣のう腫を発見するためには、超音波検査や体の内部を輪切り状態の画像で見ることのできるCTスキャン、強力な磁気を共鳴させてあらゆる角度から体を見ることができるMRI、などを使って検査をする。また、血液中にがん細胞などによって作り出される物質があるかどうかを調べる腫瘍マーカーも注目され始めている。
検査により悪性の腫瘍でないことがわかり、のう腫の大きさも3~4cm未満でさほど発育していなく、卵巣の機能が正常に保たれている場合には、手術せずに定期的な検診で経過観察をすることがある。
また、妊娠初期に発見された卵巣のう腫もそのまま様子見する。それは、妊娠中はホルモンの影響で一時的にのう腫が大きくなり、妊娠4ヶ月くらいになると自然に消えてしまうことが多いからである。
検査の結果、腫瘍が悪性だとわかった場合は、腫瘍が小さくても必ず手術をする。両性ののう腫と判断されても、レモンからオレンジほどの大きさになると手術が必要である。このくらいの大きさになると、腰痛や腹痛などが出てくるうえ、卵巣と子宮をつないでいるひも状の部分がねじれて戻らなくなる「茎捻転」になることもあるからである。
「茎捻転」になると血液循環が止まり、激しい腹痛を伴う。万が一茎捻転になったら、ただちに手術するのが一般的である。
卵巣のう腫の手術には、のう腫摘除手術、卵巣摘除手術、付属器摘除手術の3種類の方法がある。最近では他に、腹腔鏡手術も行われる。
良性ののう腫なら、特に若い人の場合は極力卵巣を残す方針だ。方法は、卵巣の皮膜の一部を切り取り、そこから内部ののう腫だけを取り除いて縫い合わせる。こうすることで卵巣の機能が残り、妊娠も可能。
のう腫が大きく発達している場合は、卵巣をほとんど全部除去する場合がある。しかし卵巣は、米粒ほどでも残っているとそこから再生するので、元の機能を取り戻すことができる。さらに、片方だけの摘出ならば、機能に問題なく、妊娠・出産も可能。
しかし悪性の腫瘍の場合は、リンパ節に移動したり、薄い卵巣皮膜をとおして腹腔内にがん細胞が転移してしまうことが多いため、卵管と卵巣をとることが必要になる。
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