心臓を動かして血液を循環させたり、体温を調整したり、呼吸・消化・吸収といった生きていくのに欠かせない体の機能を自動的に調整しているのが、自律神経である。
自律神経には、緊張させる働きの交感神経と、リラックスさせる働きの副交感神経とがある。たとえば、緊張すると心臓がドキドキして呼吸が速くなる。これは、緊張状態を乗りきるために交感神経が働きかけた結果である。それからしばらく経つと副交感神経の働きで、平常の状態に戻るようになる。このように自律神経は、我々の体を、意識しなくても必要に応じたバランスをとって、人がうまく生きていけるようにしているのである。
この自律神経が失調するということは、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなかったり、どちらか片方だけが強く働いてしまったりして、バランスが崩れることを言う。
その結果、どこにも病気はないのに、体にさまざまな変調が起こってしまうのである。
●全身的症状
倦怠感、疲労感、目まい、ふらつき、立ちくらみ、ほてり、悪寒、微熱、食欲不振、不眠、眠りが浅い、朝の目覚めが悪い、いつでも眠い、頭痛、疲れ目、耳鳴り、呼吸困難、動悸、息切れ、胸のあたりの圧迫感、月経異常、肩こり、腹痛、胃痛、吐き気、便秘、下痢、手足のむくみ、頻尿、皮膚のかゆみ、など
●精神的症状
いらいら、不安感、気力低下、集中力低下、記憶力低下、など
人によって現れる症状はさまざまで、ひとつの場合もあるけれど、いくつも重なって現れることが多い、という特徴がある。しかしまず、器質的な病気が隠れていないかを診断するのが先決なので、自己診断しないで病院に行こう。
自律神経をコントロールする自立神経中枢の近くには、ホルモン系の中枢もある。そのため、男性より女性のほうが圧倒的に自律神経失調症にかかりやすい。
とくに思春期や更年期のようにホルモンのバランスが崩れやすい時期には、その乱れが自律神経中枢の働きに影響を及ぼし、失調症になりやすいといわれている。
また、ストレスを抱え込んでいる人、まじめで几帳面な人、責任感の強い人、暗示にかかりやすい人、強迫観念の強い人なども年齢に関係なくかかりやすい傾向にある。
心理療法の中心は、面接によるカウンセリング。通常カウンセリングは、医師または臨床心理士と患者の一対一で行われる。誤解されやすいのは、カウンセリングは人生相談土と違い、解決法を教えたり助言するものではない。患者自身の葛藤の根本や不安感の原因に気づき、混乱している心を整理して、ストレスに冷静に立ち向かうことができるようにするのが目的である。
カウンセリングのほかには、心身のリラックスを図るためのイメージトレーニングやストレス耐性を高める自律神経訓練法、また、心理テストにより自分の性格のひずみを直視して、人間関係を改善していく交流分析など、患者の状態によっていろいろな方法が用いられている。
主に使用される薬は、「抗不安薬」「抗うつ剤」「睡眠薬」「自律神経調整剤」など。服用に際し、医師の処方をきちんと守る、アルコールと一緒に飲まないなどの基本的注意が必要。また、状況によってはビタミン剤やホルモン剤と併用したり、心理療法と併用する場合もある。
特に体質的な問題で自律神経が乱れている場合に効果的な方法。漢方薬だから副作用がないと思っており人もいるかもしれないが、そこは薬なので、飲み方を間違えれば副作用がある。必ず病院や東洋医学での診断を受けて、自分の体質〈「証」という)に合った薬を選んでもらおう。
自分の症状が自律神経失調症なのかどうかを判断するには、「心療内科」か「心身医療科」に行くのがいちばんいいのだが、残念ながらどこの病院にでもあるというわけではない。とりあえず内科で器質的な病気がないかをチェックしてもらい、体の不調が自律神経失調症のためだとわかったら、そこから専門医を紹介してもらうといい。
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